マンションのリノベーションで断熱性能向上
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カテゴリー:豆知識
マンションでの断熱リノベーションは、基本的には専有部のみ行います。
外気に面している窓まわりや、玄関の断熱性能を高めることで、暑さや寒さのお悩みが大幅に改善されます。
他にも、壁や天井・床といった内装への断熱材の追加が可能です。
こちらの記事では、マンションで断熱リノベーションをご検討されている方に向けて、断熱性能を向上させるポイントをご紹介しています。
リノベーションを通して、過ごしやすい室内を実現しましょう。
マンションでの断熱リノベーション どの程度必要?
マンションの断熱リノベーションを行う場合、ご希望の断熱性能によって、施工箇所・方法・予算が変わってきます。
ヒートショックのリスク軽減、省エネ光熱費削減のメリットから考えると、ある程度の断熱性能は確保したいものです。
マンションの断熱性能はどの程度必要か
集合住宅であるマンションは、戸建て住宅とは異なり、熱損失係数(Q値)や外皮平均熱貫流率(UA値)などの断熱性能値はあまり算出されません。
マンション全体のQ値やUA値を出すことは計算上可能ですが、それぞれの住宅が外気に面する大きさが異なり、両隣、上下階で暮らす方の状況も影響するので正確な数値とは言えません。
また、比熱が高いコンクリートを多く使用しているので、断熱性能よりも蓄熱の影響を受けやすいという見解もあります。
マンションで出来る断熱施工
断熱リノベーションを通して高断熱のお住まいになると、夏や冬が快適になるだけでなく、結露やカビやダニのお悩みも解決するでしょう。
ここからは、具体的なリノベーション方法をご紹介いたします。ご自宅の状況に合わせて、最適なリノベーションを行いましょう。
窓やドア 開口部の断熱
住宅の開口部である窓やドアからは、冬は約6割、夏は7割の熱が出入りします。
まずは、この開口部のリノベーションを検討されるのが良いでしょう。
マンションでの施工は専有部のみ可能なので、工法が限られる点には注意しましょう。
内窓の設置
既存の窓とサッシはそのまま残し、新たにサッシを取り付けて内窓を設置する方法もあります。
窓自体が二重になるので、断熱性が大幅に向上します。
内窓のサッシは樹脂製のものを選び、内窓のガラスを2枚以上のガラスを組み合わせた複層ガラスにすると、さらに断熱性能がアップします。
ガラスを3枚使用したトリプルガラスやLow-E複層ガラスであれば、さらなる断熱効果が期待できます。
内窓は冬の寒い時期でも、お部屋側の窓まわりが外気の影響を受けにくいため、結露の抑制にも繋がります。
窓ガラス・サッシを交換
マンションの管理組合に確認いただくと、景観を損なわない範囲であれば窓ガラスやサッシのみの交換が可能なケースがあります。
開口部は窓ガラスだけでなく、サッシからも熱が出入りします。
築20年以上のマンションでは、よくアルミ製のサッシが使われています。
このアルミサッシは、樹脂サッシに比べ熱の伝導率が約3倍も高い素材です。
窓サッシの素材を変えることで、断熱性能が向上します。
ドアの断熱
玄関ドアも外から冷気や熱気を室内に伝えてきます。
玄関のドアを断熱性の高い商品へ交換するリノベーションもあります。
ですが、マンションやアパートといった集合住宅では共用部である玄関ドアを勝手に施工できません。
ドア交換が出来ない場合は、玄関スペースと室内に繋がる廊下の間に間仕切りを設置し、
空間を区切って冷気・熱気をお部屋に侵入させづらくする対応ができます。
内装(床・クロス・天井)の断熱
マンションのリビングは集合住宅のため、戸建てよりも寒さを感じないと言われることがあります。
外に面している部位の大きさで、暑さや寒さの感じ方が変わります。
その点で考えると、マンション最上階の角部屋は、外気の影響を受けやすくなります。
両隣、上下階を他の住戸に囲まれた中住戸の場合は、玄関と窓回り、バルコニー・ベランダ側だけが外気に面しています。
ですので、開口部の断熱リノベーションで断熱性能は格段にアップします。
壁や床、天井も含めて断熱施工を行うと、非常に快適な住環境を実現できます。
また、気密性が高まると遮音性も向上するので、騒音のお悩みが解決することもあります。
マンションでのリノベーションは、自由に施工できる戸建て住宅と異なります。
玄関ドアやベランダ、外壁などの共用部はご自身の判断でリノベーションできません。
専有部と共用部の取り決めは、管理規約に記載があるケースが多いので、予め確認するようにしましょう。
専有部のみのリノベーションとなると、住居側の壁や天井などに断熱材を追加・充填する工法を採用することになります。
一般的には、乾式断熱と湿式断熱という工法が用いられます。
乾式断熱
乾式断熱は木材の下地を作り、発泡スチロール状の断熱板をはめ込む方法で施工します。
この方法はマンションの低層階から最上階まで、お部屋の場所や高さに関わらず施工可能です。
使用できる断熱材の種類も多いため、予算に応じて選べます。
何枚もの断熱板をはめ込めていくので、連結部の数ミリの隙間が生まれて気密性が低くなります。
この防止策として、隙間を覆うように断熱材を重ねる場合もあります。
湿式断熱
湿式断熱も木材で下地を造る工程は乾式断熱と同様ですが、泡状の断熱材を使用します。
泡状の断熱材を吹きつける方法で施工しますので、壁に凹凸や入り組んだ形状があっても問題ありません。
密着するので、隙間ができてしまうこともありません。
注意点として、湿式断熱は部屋の場所によっては施工できない場合もあります。
湿式断熱では、大型コンプレッサーからホースを使って断熱材である泡を送り込みます。
大型コンプレッサーはトラックに積んだ状態で稼働させます。
駐車スペースが無い場合や、高所階でのリノベーションでは、泡を送り込むことができず、湿式断熱の施工はできません。
断熱材
使用する断熱材として優秀なのは、セルロースファイバーです。
不燃性の断熱材であるセルロースファイバーは、古い新聞紙をホウ酸処理して作られます。
海外では一般的に使用されていて、日本でも徐々に普及しています。
セルロースファイバーには優れた調湿能力があります。
漆喰などの壁の仕上げ材よりも厚い素材なので、より大きな調湿効果を期待できます。
セルロースファイバーは乾式でも使用可能ですが、湿式で行う方が断熱性能がより高まります。
マンションのリノベーションを検討されている方向けの、断熱性能向上のポイントをご紹介しました、いかがでしたでしょうか。
実際に施工を行うお部屋の配置やマンションの状況によって、どの断熱リノベーションプランが最適か異なります。
リノベーションをご検討中の際は、ぜひ断熱性能に関してもご相談くださいませ。